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2011.09.01理事長メッセージ

理事長からのなずなメッセージ#71 世界に通用する日本人になるために;松浦晃一郎前ユネスコ事務局長

理事長・学園長
古 賀  正 一

 今日から2学期始業、早めに登校する生徒が多く、長い夏休みを終え待ちかねて学校へ来たい気持ちがよく分かります。夏休み中の行事(海外研修、白神山地)、夏期講習、クラブ活動、SSH活動、自習室や一宮学舎などでの集中勉強会など全ての活動を無事こなしました。2,300人以上の生徒が大きな事故や怪我もなく元気で登校する姿を見るのは、何よりうれしいことです。クラブ活動も、中学は吹奏楽部、応援部、卓球部など活躍、高校ではハンドボール部インターハイ出場、水泳個人100m自由形、100mバタフライインターハイ出場、卓球インターハイ出場など活躍しました。

さて2学期は、文化祭(なずな祭)、中学体育大会、中学高校修学旅行、芸術鑑賞会など行事の多い時期です。また各種模擬試験も実施されます。読書・スポーツの秋であり、生徒の学力も伸びる季節です。特に高校2年生にとっては自分の進路方向を決める時期であり、高校3年生にとっては、勉学に集中し、センター試験までの計画的努力が、目標達成への唯一の道です。自分をもうワンランクアップさせ、自分の真の力を伸ばし(ストレッチし)、目標を初志貫徹させる時期です。最後まであきらめない強い心を持ちたいものです。先日模擬試験の結果分析の報告を受けましたが、当学園の生徒は、高2からの伸びしろ(余地)が非常に大きいとの分析があり、うれしく思いました。かけがえのないたった一回の人生です。是非悔いを残すことのないよう安易な道を選ばないよう、保護者の皆様の理解と支援が必要です。若いうちにチャレンジしなくて、いつチャレンジするのでしょう。進路で安きにつくと、大学でも社会人になっても志の低い人間になってしまう恐れがあります。

さて本校の目標の中で、真の学力と難関国立大学進路実績向上、SSHを中心とするサイエンス教育の発展とならびグローバルな視点に立った国際教育を重視しています。具体的には、読み書き話す英語教育の更なる充実、外国人教師とのティームティーチングの充実、帰国子女の授業の充実、世界の中の日本を考える授業、英語でのプレゼンテーション教育、海外語学研修や短期英語集中合宿(イングリッシュシャワー)、国際的に活躍している方の土曜講座などを実施しています。さらに中学段階での海外修学旅行なども検討中です。また校内の国際化として、教職員の海外研修、海外出張も奨励しています。またSSHでの国際交流、海外提携校との交流も積極的に進めています。

日本で最も国際的に活躍している一人として、ユネスコ(国連教育科学文化機関、本部パリ)の前事務局長の松浦晃一郎さんがあげられます。アジアからはじめて選ばれたユネスコのトップです。外務省入省後経済局長、北米局長、駐仏大使などを歴任された後、1999年ユネスコ事務局長に就任され10年間トップを勤められました。小職も非常に尊敬している方です。国際社会から信認を失っていたユネスコの改革を中期ビジョンをもとに推進され、アメリカ・シンガポールのユネスコ復帰、無形文化遺産の創設、財政規律と組織改革など実行され、松浦路線をつくられました。ユネスコは、加盟国193、160ケ国からの職員約3,000名の大組織です。教育、文化、自然科学、社会科学、コミュニケーションの5分野を担当しています。松浦さんは最近『国際人のすすめ・・・世界に通用する日本人になるために』(静山社)を出版されました。改革の成功は、人柄と指導力、参加型改革という組織運営のうまさとコミュニケーションによる信頼感です。これからの若い人が、国際的機関やグローバル企業で働き、他国の人と共同作業をする時の教えが、この本の中に沢山盛り込まれています。生徒に参考になることを書き出してみました。特に語学力、記憶力、判断力、議論する力、体力は、世界に通用する人材の資質として、不可欠であると述べられています。

1、 自分の主張をはっきり口に出し、論理的に説明する力が必要

2、 外国人の前でも一生懸命に働くこと

3、 日のあたらない者にこそ光を(小国への配慮); ユネスコ加盟の半分の国が最貧国または小島開発途上国である。

4、 語学力は基本; 『聞く、話す』にもっと力をいれる。英語でのコミュニケーション力は必須。国際機関で働くには英語とフランス語(又はスペイン語)など2ケ国語以上の使用は常識。

5、 記憶力を高める努力と同時に何事でも周到な準備が必要

6、 判断力の重要性; 長い経験・知識の蓄積と仕事を通じての先輩からの助言、大局観と一貫性。

7、 議論する力; 自分の考えを述べる訓練をする。

8、 体力は全てを決める; 健康に配慮した食生活、適度な運動習慣(テニス、ジョギングなど)、睡眠

9、 相互の信頼関係を築く努力

10、日本の良い伝統や、日本人の持つ良い教え(責任をとる、武士道精神)をふまえつつ、欧米のよいところを積極的に取り入れてゆく姿勢

世界各国の首相や要人と会談され、多くの国際会議の場でリーダシップをとられた松浦さんに是非土曜講座に来ていただき、直接お話を伺いたいと思っています。