高校模擬国連

高校模擬国連

高校模擬国連

活動概要

  • 模擬国連とは、1人1人がある国の大使になりきり、他国の大使と交渉を重ねる中で、設定された議題における問題解決案(決議案)を作成するという、実際の国際連合での会議や国際会議を模したプログラムです。
    会議においては、スピーチや着席討議、非着席討議での個別交渉など様々なかたちで議論を行い、議題は児童労働からサイバーセキュリティまで多岐にわたります。参加者はあらかじめ、議題の背景・現状や、担当国の内政・外交状況、議題に対する立場などを把握し、担当国の利益を守ると同時に国際益を守ることができる決議案が、全会一致で採択されることを目標に、会議行動を練って本番に臨みます。
    公式大会としては、書類選考を経て参加することができる全日本高校模擬国連大会と、高校生が運営に携わり、誰もが参加可能な全国高校教育模擬国連大会があります。例年は大規模な練習会が定期的に開催されていました。
第1回全国高校教育模擬国連大会
https://sites.google.com/view/ajemun2021
第12回全日本高校模擬国連大会 
https://jcgc-mun.org/

活動の感想

早稲田大学教育学部  湯浅 空(2019年度卒業生)

私たち(同級生3名チーム)は、第1回全国高校教育模擬国連大会(現在:全国高校教育模擬国連大会(AJEMUN))B議場で優秀賞を頂きました。
模擬国連に参加する最大の意義は、他者理解の思考を得ることにあると私は思っています。
会議中は、自分自身がどんな考えを持っていようと、自分の担当国を代表する意見を主張しなければなりません。そのためには、なぜ担当国がそのような主張をしているのかを深く理解しておく必要があります。また他国との交渉においても、ただ主張を戦わせるのではなく、主張の理由を分析し、折り合いがつく点を探し出すという作業を通して、その国の環境・宗教・政治・教育などが主張に大きな影響を与えるということを、身をもって知ることができます。
私はこの他者理解の思考を少しでも多くの人に広めたいと思い、模擬国連の教育プログラム的側面に注目しました。他者を尊重し、自分を大切にし、人々が生きる社会をより良い方向に向かわせる原動力が1人1人に生まれるような教育の在り方を模索できないか、という思いをもって、教育そのものを俯瞰することができる今の専修を選択しました。知ることは、優しさや配慮に繋がります。課外活動はそのための手段の1つです。自分に合う手段を見つけてみてください。

慶應義塾大学経済学部 濵 綾里(2019年度卒業生)

「たまたまたどり着いたから」という理由で英語部に入部した自分にとっては、まさかここまで模擬国連に熱中して、ここまで模擬国連に影響を受けるとは思っていませんでした。
模擬国連で様々なことを学びました。議題に関することや担当国のことはもちろん、リサーチの方法なども知ることができました。その過程で、担当国の意外な面や今まで存在すら知らなかった問題を知ることが楽しくなり、いつしかリサーチに熱中するようになっていました。また、模擬国連をきっかけとしたさまざまな出会いやチャンスに恵まれました。特に、私にとって、模擬国連は留学のきっかけになりました。
模擬国連を通して自分の実力、特にスピーチ力(限られた時間内で効率的に伝える方法)や交渉力、政策立案能力の足りなさに気づきました。模擬国連の本質について考えたい、というのもあり、模擬国連発祥の地であるアメリカへ留学しようと考えました。そこで、奨学金をもらえる上に、日本中にいる、同じ時期に留学する同世代の人たちに出会える制度を見つけました。それは、「トビタテ!留学JAPAN日本代表プログラム※」(以下「トビタテ」)でした。トビタテでは、留学前・留学中・留学後の計画を自分で作らなければなりませんでした。トビタテ担当の先生やトビタテ生として派遣された先輩方に支えられながら、市川学園英語部の、挑戦を後押しする空気に背中を押されながら、審査を突破することができ、高校生コース第4期生として採用されました。留学中、「ひとりで何でもしなければならない、だってひとりでできるから」と考える時期もありましたが、留学の準備から留学報告までの活動を通して、「ひとりでできないことがあるということを受け入れて、できないなりに自分から行動を起こそう」と考えることができるようになりました。
現地では、スピーチの構成から、ジェスチャー、政策の立て方まで学び、その後の模擬国連に活用しました。例えば、その場でスピーチの内容を変えたときに、スピーチの導入部分やジェスチャーなどで、留学で得たテクニックを取り入れることができました。留学で学んだ政策を作る方法は、模擬国連に限らず大学でのレポート作成などにも役に立っています。しかし解決策のうち、資金に関する面の良い案が思い浮かばないまま模擬国連を引退しました。
現在、模擬国連をしていません。模擬国連から離れてみて、高校生の時に模擬国連を通して抱いた夢が、本当に自分が目指したいものなのか考えたいからです。しかし、結局、「模擬国連が好きで、模擬国連を通して抱いた夢を本当に目指したいのだ」とこの原稿を書きながら、当時の記録を参照しながら、思い始めています。経済学部を選んだのも、引退までに解決できなかった資金の問題が心のどこかに引っかかっていたからなのかもしれない、と今になって思っています。
このような活動ができたのは、支えてくれた先生方、ともに過ごしてきた仲間、特に英語部のみんなのおかげです。本当にありがとうございました。