トビタテ!留学ジャパン

トビタテ!留学ジャパン

トビタテ!留学ジャパン

活動概要

トビタテ!留学JAPANは、文部科学省が意欲と能力ある全ての日本の若者が、海外留学に自ら一歩を踏み出す機運を醸成することを目的として、2013年10月より留学促進キャンペーンとして始まった留学支援プログラムです。
トビタテ!留学JAPANは支援が手厚く、留学とはいっても様々なコースが用意されています。大きく分けると、アカデミック、プロフェッショナル、スポーツ・芸術、国際ボランティアのコースです。そして応募する際には、留学計画書の作成というとても大変な過程を経る必要があります。これを作成するだけでも、自分自身を分析したり、将来を見つめなおしたりする良いきっかけにもなるので、大きな成長につながります。
トビタテ!留学JAPAN HP:https://tobitate.mext.go.jp/hs/

活動の感想

ガーナ医療ボランティア

群馬大学医学部医学科 王 曄子(2020年度卒業生)

  • 私は高校2年生の時にアフリカのガーナに国際医療ボランティアとして派遣され、現地で2週間ホームステイをしました。帰国生ではありませんが市川学園での教育のもと養ってきた英語力とコミュニケーション能力を生かして、異国の地で一人きりの中たくさん苦労しながらも楽しく意義深い活動をすることができました。幼い頃から小児科医になることが夢だったので、発展途上国の医療を経験したり、多くの子どもたちと交流したりすることが私の留学の目的でした。実際の活動では、ガーナの病院を見学したり、ハンセン病キャンプでケア活動を行ったり、地域の小学校で子どもたちの健康診断を行ったりと、新鮮で貴重な体験ばかりでした。これらの経験を踏まえて多くのことを学びましたが、高校生だった留学当時の自分は大きな無力感を痛感することもできました。

    このように、直接誰かの命を救えない高校生の時だからこそ感じ取ることができた多くの新しい学びによって、将来は小児科医になるという志がより確かなものになっただけでなく、将来的には国際的な活動も視野に入れていきたい
    という思いも芽生えるようになりました。
  • 留学後は、未熟なことが再確認できた英語の授業に自然と力が入るようになったり、普段の生活でも発展途上国をはじめとした国際的なニュースにアンテナを張ったりできるようになりました。

    私はトビタテ!留学JAPANを利用して、高校生のうちに自分のやりたいことのために留学したことは、人生における大きな財産になったと確信しています。後輩の皆さんも、貴重な機会を決して逃さずに自分の将来のために多くのことにチャレンジしてくれればと思います。

フィジー国際ボランティア

東京大学農学部(推薦)  栗本 朱莉(2021年度卒業生)

  • 私は高校1年生の夏、ボランティアとして1ヶ月間太平洋の島国フィジーの村落で生活をしました。発展途上国のフィジーが幸福先進国と呼ばれる国であることを知り、現地でフィジー人の幸せの秘訣を学びたいと考えたからです。そのためには「村人の一員」として彼らの生活にどっぷりと浸かる必要があると考え、トビタテ!留学JAPANの国際ボランティアコースに応募しました。
    派遣先の村に到着すると、まずは村長への挨拶から始まり、村の掟を教わりました。村人たちは皆フレンドリーです。「カヴァの儀式」で、私たちボランティアを迎えてくれました。ボランティアの主な活動は、村の幼稚園での教育支援や校舎の修繕です。子どもが多いフィジーでは先生が不足しており、毎日通う学校は手入れが行き届いておらず、壁や天井が真っ黒でした。またホストマザーのキャッサバ園での農作業やマングローブの植樹活動も行い、子どもたちのケアだけでなく環境保護にも貢献できたボランティア活動でした。
  • 1ヶ月間生活し、不便なことは沢山ありました。シャワーは冷たい水のままで、断水時はバケツ一杯の水で凌ぐのが日常茶飯事。バスの運行は不規則で、家の電化製品は驚くほど少ないです。しかし彼らは私に「物が無いなら無いなりに工夫ができる」ことを教えてくれました。水シャワーは暖かい昼間に浴びれば気持ち良く、バスが来ない時は村の誰かが車を乗り合い送ってくれました。オーブンは村に数台あれば十分で、皆で貸し借りすれば何も問題ありませんでした。そしてスマートフォンを見ない分、家族との会話が増えました。この様にフィジー人は不便を不幸だとは捉えず、心豊かな「ケレケレの精神」で幸せに暮らしていたのです。ボランティアのはずが、彼らから得るものの方が沢山あった留学でした。
  • 私は将来、発展途上国で食料不足に苦しむ人々に寄り添える研究者になりたいと考えています。興味の幅が広かった高校1年生の私は、教師、デザイナー、栄養士など自分の進路が決められずにいました。しかし、トビタテでフィジーに留学したことで人々の幸せの源となる「食」の大切さに気がつき、更には高校2年生のSSHを通じて、農学分野の研究の道に進みたいと思うようになりました。見知らぬ土地での自分の殻を破る経験は、必ず人生の指針になります。やりたいことが明確に決まっている人だけでなく、決まらずに悩んでいる人こそ挑戦しがいがあると思います。皆さんも是非海外に飛び立ち、世界の色々な国で新しい文化や生活に出会ってみてください!

フィリピン国際ボランティア

大分大学医学部  森川 心(2022年度卒業生)

  • 私は高校2年生の春に、国際ボランティアとしてフィリピンに2週間留学をしました。留学を決意したきっかけは、フィリピンの貧困地域に住む同年代の男の子との出会いでした。当時の私は幼いながらも「貧困」に衝撃を受け、その衝撃は歳を重ねるうちに、貧困に苦しむ子どもたちに笑顔を届けたいという気持ちに変わっていったのです。書類審査と面接審査を通過し、ついに高校2年生の春にトビタつことができました。
  • 現地では、孤児院で子どもたちに折り紙やミサンガを教えたり、島内各地のスラムを訪問しインタビューを行ったりと、現地の住民の方との交流を重視した活動を行いました。海外経験も少なく、英語力にも自信はありませんでしたが、現地の方は優しい方ばかりで私の意思を汲み取ろうと真剣に話を聞いてくださり、コミュニケーションに困ることはほぼありませんでした。さらに、フィリピン人の方々は非常にフレンドリーで、通りがかりの人と友達になれるほど国全体が明るく、異国の地であることを忘れるほどリラックスして活動に専念することができました。子どもたちとの交流では、言葉の壁を乗り越え絆が芽生える瞬間を体感することができ、短い期間ではありましたが、人生史上最も密度の高い貴重な2週間だったと思います。
  • 前述の通り、私は子どもたちに笑顔を届けるためにフィリピンへとトビタちました。しかし、この目的は良い意味で果たされませんでした。フィリピンの子どもたちはどんなに貧しい生活を強いられていても、誰一人として一瞬たりとも笑顔を絶やさなかったのです。留学前、私の頭の中には「貧困地域に住む子ども=生きがいを失った子ども」というイメージがありました。しかし、2週間でその固定観念は180度変わったのです。現地でのインタビューで、「今の暮らしで困っていることはありますか?」と聞くと、全員が口をそろえてこう言いました。「今の生活は本当に幸せです。何も困っていません。」彼らの表情はいつも生き生きとしていて、笑顔を届けるはずだった私がいつのまにか笑顔で溢れていました。現地に行かなければ絶対に知り得なかった彼らの笑顔を知ることができ、留学を決意して本当に良かったと心の底から思える2週間でした。コロナ禍での留学ということもあり不安が拭いきれないままの出発でしたが、留学への信念を曲げることなく私のやりたいことを全てやりきることができたのは、自分にとって大きな財産になったと思っています。
私が今回の留学を通して痛感したことは、狭い範囲で生活する私たちが思う「世界」というものは、ただの空想でしかないということです。ニュースで見る世界や先生から聞く世界はほんのごく一部に過ぎず、そこから連想する世界はあくまで私たちの空想に過ぎないのです。日本から一歩足を踏み出してみれば、きっとその空想はすぐに打ち壊されると思います。実際、私が考えていた貧困と、フィリピンに存在する貧困は全くの別物でした。未知の世界に足を踏み入れることによって、自分の中の固定観念や不要な偏見を捨て去り、さらに自分自身を見つめ直して成長することができると思います。将来の夢が何であっても、英語が話せなくても、世界に興味がなかったとしても、留学という経験は必ず何かしらの形で自分にとって大きな財産になり、大きな武器になります。最初の勇気さえ出すことができれば、誰でも挑戦できるはずです。皆さんも是非、知らない世界と出会ってみてください!