キャンプライジングサン(CRS)

キャンプライジングサン(CRS)

キャンプライジングサン(CRS)

活動概要

1929 年に米国ニューヨーク州に Louis August Jonas 財団によって設立された伝統ある国際的な教育キャンプ。例年 6~7月の2 週間で行われます。(2021 年度は期間を短縮してオンライン開催の予定)日本代表は、毎年4月に行われる選考会で男女各1名が選抜されます。参加者は、約30ヵ国から集まる14~16歳の約60名のキャンパーと20名のカウンセラーです。

活動の感想

東京大学経済学部(推薦) 森田 輝(2020年度卒業生)

  • キャンプでのスケジュール

    午前中はチームワークアクティビティーとして、グループに分かれてキャンプ場の整備(木の伐採・橋づくり・校舎の改修など)。午後はキャンパーやカウンセラーが自分の特技を披露したり、自国の文化を紹介したり、世界の諸問題を少人数のグループに別れて議論する時間になっています。
    私は日本についてのプレゼンを行い、日本文化、日本語での簡単な挨拶、折り紙を教えたり、日本の社会問題についてディスカッションをしました。夜は、その日担当のキャンパーがイベントを企画しました。
  • このキャンプを通して得た1番の宝物は、世界中から集まった仲間達と出会えたことです。価値観、宗教、習慣などが全く異なる60人が共に生活するのは簡単な事ではなく、時には衝突があったり、政治的な理由(例えばパレスチナとイスラエルの子などの)で、関係がギクシャクしてしまったこともありました。それでも逃げずに向き合いコミュニケーションを多くとることでそのような問題を乗り越えることができ、そして、一緒に生活するうちに、悩みを打ち明けたり過去にあった辛い経験を共有したりできるほどの信頼関係を築いていきました。キャンプ生活最終日に、皆で泣きながら抱き合って口にした言葉”We are sisters forever”の通り、彼らは私にとってかけがえのない存在です。
    課外活動の良さは、人との出会いだと思っています。人との出会いは自分の視野を広げ、自分を変えてくれます。課外活動を始める際には躊躇することも多々あると思いますが、少しでも興味があるならば、是非チャレンジしてほしいです。

東京大学経済学部 及部 愛実(2017年度卒業生)

  • 私の課外活動は、「自分の地平線が押し広げられる感覚」と「海外の同世代から受ける刺激」をチャージするためのものでした。
    中学3年生の時に参加した博報堂ベトナム研修は、初海外!初外国人!初異文化!!という発見と、ベトナムから溢れ出るエネルギーが、私の地平線をぐわぁぁっと押し広げてくれる感覚に初めて出会った経験です。よく謳われる「視野が広がる」とはこの事か!という実感。そして、明確な夢を持ち努力している同世代の姿に受けた衝撃。受動的に勉強しているだけの私とは全く違う中学生がそこにはたくさんいました。同じ年に行われた学校主催のカナダ語学研修に参加した時も、夢も目標も無い自分の空っぽさが、強烈にコンプレックスのように思えました。しかしこれは同時に、「自分から一番遠いものに足を踏み入れてこそ何か見つかる」「とにかく取り組んでみよう」という原動力にもなり、興味関心が広がる契機となりました。
  • 高校生になると、忙しい勉強と部活動の中で、進路選択を前に自分と向き合わなければなりません。”空っぽ”だった私は、逆にやりたいことが増え、”いっぱいでグチャグチャで中途半端”になっていました。そこで出会ったのがCamp Rising Sunです。初めて自分をもてなしてはくれない”外国人”と出会い、掃除の雑さにムカつき、私の発言の少なさにムカつかれ、知識の多さや明るさに憧れ、嫉妬し、喧嘩しながらも仲良くなっていく。学校では通用してきた自分のあらゆる“ラベル”が全く通じない社会で信頼関係を築くのは苦労しましたが、その楽しさに魅了されました。この過程で、強烈に相対化されていく自己と改めて向き合いました。自分の長所よりも、自分の弱さやコンプレックスと向き合う時間の方が長かったです。この時間の中で、自分の”グチャグチャ”が整理されていき、今まで点だった経験を線でつなぐことができました。

  • そしてもう一つ、このようなコミュニティで大事にしている考え方を日本の皆にも伝えたいと考えるようになりました。明確な夢や目標ができたわけではありませんでしたが、ひとまずの自分のライフミッションのようなものを抱えて帰国することができました。帰国後に「拓殖大学全国高校生・留学生作文コンクール」に留学経験での気持ちを応募し最優秀賞を頂きました。
    https://www.takushoku-u.ac.jp/newsportal/files/18_k01_oyobe.pdf
  • 帰国後、私は「あの子たちに顔向けできる大人になろう」という至ってシンプルな動機で受験勉強に取り組みました。未知の世界をもっと知りたいという好奇心と、海外で頑張る同世代への焦りと憧れは強力なエンジンとして働き続けています。


    これらの活動を通じて、外交や経済に興味を持つようになりました。結局、経済学部を選んだのは、世界の共通言語であり、政治・外交・企業・人々の生活などあらゆる活動と密接に連関している部分に魅せられたからです。さらに、Camp Rising Sunの経験を日本にも還元できないものかと模索し、教育にも興味を持ちました。大学入学後は、HLABという高校生向けのサマースクールの運営を行っています。
    HLAB活動HP:https://h-lab.co/

教科の勉強への影響

英語学習のモチベーション向上にはもちろん繋がりましたが、それだけでなく、海外の友人に聞かれて答えられなかった日本に関するあらゆること(政治や歴史、ジェンダーギャップなど)にも興味を持って勉強するようになりました。さらに、友達が海外にいることによって海外の出来事が自分事化されるようになったので、アンテナが伸び、自分のスケールが日本だけでなく世界まで広がりました。これらは直接的には地理や歴史の勉強に役立ったように思いますが、あらゆることに関心を持つ、自分事化して捉えるという力は何事にも応用できる私の馬力として育ったように思います。

メッセージ

上記だけ見ると外交的な生徒に見えますが、中学3年生までは部活しかしていない生徒でした。
海外にも行ったことがなく、英語も市川の授業でしか学んだことがなかったです。無料という言葉につられてたまたま博報堂ベトナム研修のプログラムに参加したのが、人生を変えたと言っても過言ではありません。
課外活動は、いい意味で自分のメガネを割ってくれます。入ったヒビの隙間から、少しだけ裸眼で世界が見えたり、今まで見ていた景色が少し違って見えたりする気がします。最初の一歩を踏み出すのは、面倒で億劫で怖いかもしれませんが、どんなに小さな一歩でも、不純な動機でもいいので、ぜひ踏み出してみてください。新たな世界が待っています。